高幡鹿島台ガーデン54&フォレステージ 見学に参加してきました。
先日、母校建築OB企画の見学会に参加してきました。
建築家、故宮脇檀の宅地開発・まちづくりの仕事を学ぶ機会になりました。
宮脇檀建築研究室OBの二瓶さんの案内による見学会でした。
日野市京王線「高幡不動駅」から北斜面を15分ほど歩いた住宅地。
1984年完成のガーデン54(54住戸)と1997年のフォレステージ(53住戸)隣り合った住宅地です。
周辺は1970年頃に大規模な宅地開発が先に行われた地域。
北斜面を棚壇上に開発されているため北接道敷地は擁壁と地下車庫が道路に迫って立ちはだかるような街並みが続いています。
50年ほど経つことから、空き家も目立ち、建て替えも進んでいるようで、
敷地分筆してボックスカルバートと擁壁をつくり替えたり、
青空駐車にして新規擁壁を引っ込めたり、旧耐震時の車庫・擁壁の扱いに苦慮している様子が見られました。
そんな住宅地を抜けてたどり着きますと、雰囲気がガラッと変わります。
まず、宅地割りといいますか道路が、それまでの縦横整然としたものとは異なり、
緩やかなカーブを描き、奥行きが感じられます。舗装材も工夫され、通過交通を抑えるボンエルフが導入されています。
歩行者用の細い生活道路の先にポケットパーク的スペースが配置されています。
電柱は、すべて埋設にするのはコストの関係があったとの事で、
敷地同士の背中側の隣地境界線に沿って電柱を立て分配することで、街路側には電柱が見えない様に工夫されています。
植栽や樹木も豊かに配されており、道路と高木類は行政の管理、低木植栽は、
隣地境界線をあいまいに見せる効果をつくりだしていて、これらは管理組合で管理しているとの事でした。
街並みに向けた顔を整える目的で、共通のゲートをあらかじめ設計してありました。
長期的景観の移り変わりをイメージできていたという事ですね。
戸建て分譲地ですが、マンションのように管理組合を設立し、
共用部分の管理の一部を居住者間で行うようにして、緑環境の維持とコミュニティ維持にも役立っているそうです。
故宮脇はこうした住宅地開発には、
5つのハードと1つのソフトが大事だと言っていたとの話がありました。
5つのハードとは、造成計画、施設計画、住戸建築計画、外構計画、宅地内計画、
ソフトとは、エリアマネジメントによる景観維持。
そうした理念によって、開発母体、行政への説得と理解の獲得の元、街並みづくりに尽力され、今に至っているとの事。
地区計画だけでは守られないマネジメントこそが重要とのお話も。
今後、管理組合に理解の元協力してもらえる地域の建築家に引き継ぎたいとのお話もありました。
これからの世代交代でどのように引き継がれていけるかも環境維持の鍵になりそうです。
ディテール的な話や様々なエピソードなど、まだまだ書ききれないくらいありましたが、
思いを形にすることの大事さを感じることができました。
S.Ono
« 自然の放射熱を現代の住宅に活かしたい | トップページ | 現場発泡ウレタン断熱材を木造住宅でやってみました。 »
「まちなみ採取(川崎区以外編)」カテゴリの記事
- 妙蓮寺前住宅地の石碑(2022.06.12)
- たまたま遭遇した街並みから感じたこと…(2022.04.02)
- 高幡鹿島台ガーデン54&フォレステージ 見学に参加してきました。(2019.05.27)
- 秋のまちあるき企画 明日です。(2017.11.11)
- 震災復興小学校をちらっと寄り道…。(2017.02.15)
コメント